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クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる
クズ夫に捨てられた私、子連れで溺愛社長と結ばれる
Penulis: あさじなぎ

1 日常から非日常へ

Penulis: あさじなぎ
last update Tanggal publikasi: 2026-07-31 23:02:50

午前七時。

朝食の支度を終えた私、涼花すずかは、ベッドで眠る二歳の息子、俊太しゅんたを抱きかかえてリビングへと連れていく。

それは、夫、郁人いくとを起こさないようにするためだ。

ホームセンターで働く十歳年上の夫、三十九歳の坂本郁人は平日休みが多く、今日は休みだ。

なのでこの時間に起こしたら可哀そうだし、怒られてしまうから俊太をリビングに連れていってから起こす。

「俊太起きて」

「んー……」

寝ぼけた息子をお昼寝用の布団に座らせて、パジャマを脱がせる。

俊太は眠い目を擦って、腕を上げ、肌着を着たあと私が持ったTシャツを見て言った。

「電車やだ。パトロールがいい」

「それは昨日着たでしょ? だから今日は電車なの」

「やだ」

俊太は今、いわゆるイヤイヤ期。

パトロールは犬が救助隊をしている人気のアニメのことだ。

今着せようとしているのは、こちらも人気の電車が変形するアニメのシャツだ。

電車が好きになったり、車が好きになったり。本当に忙しい。

「ほら、靴下はパトロールだよ」

そう言って、私は靴下を見せるけど、俊太は不機嫌だ。

「やだ」

と、むずがる俊太を抱きかかえて、洗面所に連れていき顔を洗わせて口をすすがせる。

「ほら、朝ご飯食べたら保育園だよ」

「んー」

俊太はずっと不機嫌だ。

それでもなんとか朝食のおにぎりとおかずを食べて、保育園の準備をする。

息子を保育園に送ったら、私は仕事だ。

夫が休みなのに預けるのは気がひけるけど、郁人じゃああんまり面倒見られないしな。

前に預けたら、

「ジムに行けなかった」

って不機嫌になってしまったことがある。

三十九歳の郁人は、結婚前からジムに通っていて、私ともそのジムで知り合った。

私は妊娠したからやめたけど、郁人はずっと続けているし、休みや夜、時間があるとジムに行っている。

「ストレス発散だから」

ということだし、気持ちはわかるから強く止めないけど。

「もう少し子供の相手、してくれたらいいのに」

と思う時がある。

今日だって休みなんだから、子供の準備をしてくれてもいいのに、絶対に起きてこない。

でも全然相手をしないわけじゃないのよね。

月に二回は外に連れて遊びに行ってはくれるし。それは俊太も喜んでいる。

でも私とはどうだろう。

会話もあまりないし、夫婦生活もない。

「一緒にいて楽しいかな……」

そんな疑問がよぎるときがある。

でも俊太がいるし、頑張らないと。そう思って私は日々を過ごしている。

時計を見るともうすぐ八時になる。

郁人は起きてこない。

まあ起きるわけないわよね。休みの日はいつもこうだしそれに、起きたらきっと、ジムに行くだろう。

それは郁人の日課だもの。

郁人の朝食を冷蔵庫に入れておいて、私は俊太を連れて保育園に向かった。

「保育園やだー」

とむずがる俊太を預けて、私は歩いて職場に向かう。

時間は九時前。九月に入ってからだいぶ涼しくなってきたと思う。

いわゆる家事代行業の斡旋所が、私の職場だ。

マンションの一階にある事務所に入り、私は挨拶をする。

「おはようございます」

「おはようございます、坂本さん」

所長の女性、宮園さんが笑顔で出迎えてくれる。

宮園さんは五十歳くらいだっただろうか。

家政婦界隈ではとても有名な人らしい。

私はここで事務職員として働いている。

子供を産んで保育園に預けるようになってからだから、一年くらい、だろうか。

私は荷物をしまい、私はコーヒーを用意する。

宮園さんと私専用のマグにコーヒーを淹れ、私はカップを持ってデスクへと向かった。

「宮園さん、コーヒー入りました」

「ありがとう」

事務所には他に経理の子もいるけれど、今日は休みでいない。

コーヒーを飲みながら朝のチェックをしていると、宮園さんの業務用のスマホが鳴る。

「はい……あら、本当に? 大丈夫なの?」

と、心配げな声で言う。

どうしたんだろうか。

そう思いながら私は、パソコンを操作する。

宮園さんの目が、こちらを向いたような気がしたけれど何だろう。

「わかりました。こちらで何とかするから、お大事にね」

そこで電話を切った宮園さんは、私の方をむいて言った。

「柏木さん、いるでしょう?」

柏木さん、というのはうちに所属しているベテラン家政婦さんだ。

頷きながら私はパソコンを操作する。

「昨日、仕事帰りに事故にあってしまったんですって」

「え、ほんとに?」

目を見開いて和や市は宮園さんを見る。

彼女は肘をついて手を組み、困ったような顔をして私の方を見て言った。

「それでね、坂本さん。とりあえず今日だけでも柏木さんが通っているお宅に行ってもらえないかしら?」

「う、え?」

私は目を見開いて自分を指差してしまう。

「な、なんで私なんですか?」

「先方には小さいお子さんがいるの。その子を保育園に送って、お迎えに行ってほしいのよ。それだけお願いしたいの。先方には私から連絡しておくから。その間に私、別の人探すわ」

「はあ……それだけでしたら」

子供の送り迎えだけなら、断る理由も無く。

宮園さんは笑顔で頷き電話をかけ始めた。

宮園さんが連絡取ってくれて、私は柏木さんが担当しているお宅にお子さんを迎えに行った。

時間は十時前。

保育園に行くにはだいぶ遅くはないだろうか。

そう思いながら、宮園さんに言われたお宅は、大きなマンションだった。

「うわぁ……」

駅から近いし、すごく高そう。

マンションの中に入り、ゲート前のパネルで部屋番号を押す。

ピンポーン、という音の後、

『はい』

という、低めの男性の声がした。

「すみません、私、宮園家事代行から参りました、坂本と申しますが」

『あぁ、はい。伺っております。少々お待ちください』

ゲートが開く。

私はゲートをくぐり、エレベータへと向かった。

部屋は八〇一号室だ。

うーん、緊張するな。

私はぎゅっと拳を握り、エレベーターのボタンを押した。

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